消費税

 2012年1月も早中旬、我が事務所も新年の浮かれた気分は吹っ飛んで通常の毎日が始まっている。もっとも東日本大震災、東電・福島原発事故など散々な年だった昨年、その災害の復興、復旧の見通しの立たないなか、まして野党として迎えた新年は、さほど喜べたものではなかったのだが。

 通常国会は24日に召集される。被災地の復旧、米軍沖縄基地、TPP等防衛・外交、行政改革、景気対策など多岐にわたる懸案の中、世の関心は「税と社会保障制度の一体改革」、なかでも消費税率の改定に集中している。財政再建を進める政府の方針は、まったくもって正しい。しかし、目標とする社会保障制度の全貌が不透明で、行政改革も無駄の削減も不十分、そのうえデフレ脱却への思い切った経済対策もないままに国民への負担だけを先行させる野田佳彦総理の頭の構造は、まったくもって理解できない。そもそもデフレ経済の脱出なくしては、仮に消費税率を引き上げても、期待するほど税収が増えるはずがないのだから。

 昨年9月に就任した野田総理は、臨時国会の冒頭の予算委員会で、当時野党筆頭理事だったオヤジ(衛藤晟一)の質問に、こう答えている。
 衛藤「総理になられて何をしたい」
 野田総理「最大かつ最優先に取り組まなければいけないのが東日本大震災からの復旧復興と原発事故の収束、加えて日本経済の再生です」
 その意気込みやよし、と誰もが思ったはずだ。ところがどうだ。被災地は復興どころではない。瓦礫すら未だに処理できず除染はやっと始まったばかりで復旧すらままならない。さらに原発に至っては炉心の現状さえ把握できないばかりか、今後の対処法も定まらず、まして故郷を追われた住民が自宅に戻れる保障など皆無と言っていい。これが最優先に取り組むべき事柄の実情だということを総理は認識しているのだろうか。
 経済はデフレの嵐に円高の追い打ち。エコカーへの補助金事業なんて始まるそうだけど、かつてはどっかの政党は反対していたのと違うかな。

 そもそも、執拗に書かせていただけば、政治主導、脱官僚、予算組み替えによる16.8兆円の財源確保、歳入庁の設立、抜本的年金制度改革、後期高齢者医療制度の廃止、天下りの禁止、国家公務員の2割削減、子ども手当2万6.000円、高速道路無料化、ガソリン暫定税率課税廃止、八ッ場ダム建設中止など際限なく嘯いたのはいったいどの政党か。ケンシロウじゃあないけれど「お前(民主党)はもう死んでいる」。
 「震災の対応で、日本人の絆というものを改めて感じました。それにしても理解できないことがあります。これぐらい詐欺に近い公約違反を繰り返し謝罪さえない政府に大人しく従っている日本人はまったく理解できません。私の祖国でしたら暴動が起きています」先日、外国の友人にこんな話をされて、さすがに返す言葉が浮かばなかった。

 「税と社会保障の一体改革は党派の垣根を越えた問題。与野党協議に応じるべきだ」という与党の勝手な言い分に、マスコミも世論も同調している。ちょっと待った。何時から国会は談合の場になったんだ。法案は政府・与党が意見を集約、閣議決定をして国会に提出、堂々と国民の前で議論するべきものではないのか。党内さえまとめ切れない案件に野党を引きずり込もうなんてセコイにも程がある。その後に自民党は胸を張って議論を戦わせれば良い。自民党だって消費税率10%を公約にしているんだ。頭から反対できる訳がない。まずはその前提となる景気対策を自民党は提起する責任がある。その論争を国民の前で繰り広げれば、どの政党に政権担当能力があるのか、おのずとお分かり頂けると思うのだが。