スケーブゴート

 今回は私アルファード号が、乗用車の分際で一言、私見を述べさせていただく。
 最近の国会の議論を見ていると、どうしても論点がずれているとしか思えない。野田内閣の大目標はいったい何だったのか。一刻も早い東日本大震災からの復旧、復興ではなかったのか。それなのに口を吐いて出る言葉は増税一直線。総理の政治生命を懸けた信念が増税しかないのなら、狂っているとしか言いようがない。

 現状をご存じか。被災地の瓦礫処理は全体の5%余りしか進んでいない。補正で確保された予算も十分に消化しきれていないし、政府がなんと説明しても福島第一原発は依然小康状態のままじゃあないか。特に4号機の建屋については崩壊の懸念がもたれており、その使用済み核燃料貯蔵プールには、いまだ1千本を超える使用済み核燃料棒が沈んでいる状態だという。避難している住民はいつ戻れるか定かではないし、きっと蓄えも少ないことだろう。仮に戻れた場合にしても就職はあるのだろうか。除染は進んでいるのか。政府か早急に先頭になってやらなければならない仕事は、限りなく多い。
 一方、巨額の義援金を集め、大勢のボランティアが汗を流し、「絆」だとか騒いだ国民にも問題。いざ瓦礫の受け入れになると尻込み、知らぬ存ぜぬとは何と自分勝手なことか。この国民ありてこの政府ありと言われてもいた仕方ない。

 さて、消費税について。今の世論では消費税率の改定は、国家公務員、国会議員の歳費の削減、議員定数の削減が前提のような進め方になっているが、本当にそんなんで良いのか。年々1兆円余り増加する社会保障費を賄い、同時に財政再建を進めるのが大目標なら、こんな前提条件だけで対応できるはずがない。「それどころか、歳費や定数の削減でお茶を濁し、抜本的なシステムの改革に手をつけない。まるでスケーブゴートだ」(衛藤晟一議員)というようにしか見えない。
 もちろん歳費の削減や議員定数の見直しは、当然のこととして実行しなくてはいけないことだが、こんなことが大新聞の大見出しになること自体次元が低すぎる。
 そもそも民主党が掲げた予算の抜本的な組み替えはどうしたのか。例えば単年度予算制度を見直す。ヒモ付きの補助金を廃止すれば地方交付金は現状の8割くらいでも十分だという首長の声もある。政府の保有株式を売却すれば20兆円くらいは楽勝だろうし、納税者番号を導入し所得の捕捉をすれば数兆円の増収は可能だろう。また歳入庁をつくって税金と社会保障費を一つの窓口にすれば、十数兆円の未徴収分を解消できるかもしれない。併せて公費負担の在り方をもう一度見直し、自助、共助を前提にした社会保障制度にすべきだ。こうしたことの方がよっぽど議員の給料や人数を減らしたりするよりは効率的で恒久的じゃあないのか。国のシステムを変えるというのは、こういうことだろう。いまの議論を見ていると、肝心な問題に手を付けずに、議員虐めと増税で誤魔化しているようにしか思えない。こんなことじゃあ例え議員数をゼロにして経費を詰めたところで膨張する社会保障費に追いつきっこない。まして、それで増税じゃあ、消費税率20%は覚悟しなくちゃあならない。