勝ちに不思議な勝ちあり

    衆議院選挙は自民党の大勝に終わった。勝因は果たして何なのか。自民党政治への期待の表れと言えはそのとおりなのだろうが、決して積極的な支持だったとは思えない。

    江戸時代の大名、松浦静山は剣術書「剣談」のなかでこう記している。『勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議の負けなし』。20数%の支持率の自民党が大勝出来た理由は、民主党政権の不甲斐無さに国民が辟易していたことが最大の要因だったことは間違いのない処だが、小党が乱立して選択肢が増した割に、政策が同じようで違うような主張を繰り返し、焦点がボケてしまったこと、予想に反して投票率が低かったことなど他党の敗因の方がはっきりし過ぎていた。

    それにしても、各政党、国民といい、マスコミはこの選挙制度を本当に理解できているのだろうか。小選挙区は1人しか当選できない(比例復活は例外)制度。それがAorBの二大政党制に繋がる理由だ。その上での議会制民主主義ならば政権を目指す政党は、ほぼ全選挙区に候補者を擁立しなければ、政権公約など発表しても意味がない。だってそうでしょう。自民党、公明党(候補者数は少ないが、自民党と連立する前提があるから例外)民主党、共産党しか、理論的にも物理的にも単独で過半数を制することが出来ないし、選挙公約を実現する可能性がないのだから。(また、重複比例での復活なんていうのもデタラメだし、単独比例は選挙運動をしない人まで当選するんだから)
    さらに、数人の候補者しか擁立しない政党や、始めからキャスチングボードを握ることだけを目指し、まるでおとぎ話のような政策を論じている政党まで同じ扱いで垂れ流し、挙げ句、民意という錦の御旗を振りかざし選挙直前まで世論調査を報道しまくるマスコミの姿勢には、選挙を演芸ショーとしか扱っていないのではないかと怒りさえ覚えた。

    まずは一票の格差、定数是正を論じる前に、選挙制度と政党の在り方、マスコミの報道のルールをもう一度考え直すべきじゃあないのか。この制度と報道姿勢じゃあ、国民はやってられないよ。(M)