消費増税と社会保障

消費増税と社会保障

(1)財政再建と景気回復を同時に
 10月1日、安倍晋三総理が消費税引き上げの決断を致しました。消費税は来年の4月から5%から8%に、その一年半後、再来年の秋に8%から10%へと上がります。法案では経済が順調であれば上げることになっているわけですが、この度、施行することが決まりました。8%になった後、残りの2%増は経済が順調であるかどうかの見極めをして判断をしなければなりません。
 
 消費税引き上げの決定は長い間の懸案であっただけに、上げられる状況がきたことは良かったと率直に喜んでいます。景気も大分回復基調にあることがはっきりしてきましたから、消費税の引き上げについて決められたのは本当に良かった。将来に対する社会保障に対する一つの安心を覚えているところでございます。今、社会保障は大変な時期ですが、社会保障の充実のためにこのお金を使うわけですから、今後一層頑張らなければなりません。

 総理も最後まで心配したように、景気の中折れが起こらないかとの懸念があります。これについては、実質2%分を景気対策に回すということでやりました。このやり方で景気回復が順調にいってほしいとと思っております。


(2)問題点
 ただ、問題点を私なりに整理しますと、本当はもっと法改正までの時間があれば、消費税を毎年1%ずつ上げる決定をする。半年か9ヶ月据え置くか、据え置かないかは景気の状況ですから、オリンピックによって据え置く必要がなくなったような気もしますが、据え置かないでも1%ずつ上げていって景気に対する影響を非常に少なくする。1%ずつ上げるならば購買意欲はあまり落ちないと思います。3%いきなり上げるよりは、消費が増える分もきちんと保証していく上げ方をすべきです。且つ、外税方式にかえる。平成16年に総額標準方式、つまり内税方式に統一したわけです。今度は一応どちらを表示してもいいとされていますが、基本的には外税で転嫁できるようにするのが一番望ましいと思いますがこのような決着をみたところです。

 少なくとも財務省は来年上げた後、その後の1年半後の2%増や経済、景気についてきちんとした責任をもってやってもらわないといけません。平成9年のときに、3%から5%に2%増税を決定しながら結局増収にならなかったということへの強い反省をし、一年半後の2%については景気が中折れしないように、オリンピック開催を通して順調に景気が回復するようにしてもらわなくてはなりません。皆で頑張っていかなければならないと思っている次第です。


(3)社会保障制度を欧州とくらべて
 先日も申し上げましたがフランスやデンマーク、スウェーデンという世界における社会保障先進国に行って参りました。どの国も経済的な状況の中から社会保障を削っている状況でして、大変厳しい状況です。

日本は過去17~18年にわたって社会保障国庫負担を2.3倍に増やしてきました。13.4兆から29兆を超すまでにがんばってきました。これをヨーロッパの方に話すと、「脅威だ」、「どうしてそういうことができたのか」と聞かれます。公共事業を削り、あるいは無駄を廃する、所謂経費のうち毎年5%ずつカットを繰り返しながら今のようになりました。あと16~17年間毎年の上積みが必要です。経済成長と税の増収をはかり、この増収の中から社会保障のお金をまわしていくしかない、というのが今の日本が置かれた立場です。

 ところで国内の様々な議論の中で、欧米は消費税が15~20%あるからもっと余裕あると言う人がいますが、私はこの議論はもう早急にやめたほうがいいと思っています。欧米の社会保障の支え方は、自費か国費かという二者択一がほとんどです。欧米の保険も、私的保険、自費の分をどうリステージするかというシステムでやっているのが多い。

一方で、日本の場合は、例えば医療は、国民皆、医療保険。診察や治療を受けるときには1~3割負担、保険医療、国民皆医療保険で出す。国費の投入もする。このように医療保険も年金も、介護保険制度も自助・共助・公助と三本足で支えている。この三本足で支えているから極めて強い。これは日本における社会保障の特徴です。国民の皆様はこれを強く自覚されたほうがいいと思います。保険料というのは第二の税の側面を持っています。まさに完全な目的税ですが、片方で「助け合いのシステム」でもある。よって、日本社会保障全般がこのようなシステムによって維持されていることを強く認識しておかないと、私は誤ると思います。

 日本の場合、実は保険料でいろいろなものを支えている。欧州に行って日本の社会保障は上手な支え方をしているんだと改めて感じました。無駄が少ない。例えば医療法人だとか社会福祉法人という制度はなかなか欧米においてはみられにくい制度ですが、官と民の良いところを持ちながら支えている。気をつけないと官と民の悪いところが出てくるととんでもないことになりますが。これで社会保障や国を維持していることを認識しておかないといけない。以上が消費税引き上げのときに感じたことでした。

 とにかくオリンピックがとにかく決まって良かった。安倍総理はついている人です。日本に運を呼び戻したと思っています。
(衛藤 晟一)