回顧録 ①

 我が主人、衛藤晟一参議院議員の参院選回顧録①

 M秘書 結果的には与党を過半数割れに追い込めました。その点については及第点だと思うのですが。
 衛藤晟一 これで、やっと参議院は議論の場に戻ることができる。174回通常国会の運営は、そりゃあ酷いものだった。審議時間を十分とらないで強行採決、総理、内閣が変わったのに論戦は皆無、最後に参議院は本会議さえ開かれず選挙に向け一直線に閉会してしまった。近年まれにみる独裁運営で、かつての自民党だって、こんなやり方はしなかった。選挙後の総括で、枝野幸男幹事長を中心に、国会運営を反省する言葉が聞かれたが、負けた時は誰でも謙虚になれるもの。政権を取った時点で、数に驕らない姿勢が大切だった。いつも思うことだけど、民主主義は、一定の時間と費用を必要とするものだ。

 M 一方、自民党は改選第一党でした。
 衛藤 一人区での勝敗が大きく影響した。以前ほどではないが、やはり、地方では組織、地方議員などわが党の基盤はまだまだ生きている。ふさわしい候補さえ擁立すれば、これくらいの結果は出るのかもしれない。ただ全得票数、なかでも比例区での得票数は、民主党に遠く及ばなかった。国民の意思は民主党の政権運営に、とりあえずNOを突き付けたのだが、さりとて、自民党に戻す気にはなれない―と言ったメールを送ったということなのかな。

 M 民主党の敗因は消費税を持ち出したことと言われています。菅直人総理も認めていました。オヤジ(我が主人、衛藤晟一)は、そこのところをどう思いますか。確か消費税率の改定は、オヤジ自身は賛成だったと思いますが。
 衛藤 消費税議論を持ち出したというよりも、余りの唐突感に国民や身内の中から不信感を買ってしまったとうことじゃあないの。いったいどういった税制改革をして、無駄な歳出を絞って、何に充てるために、何で10%なのか、説明しきれなかった。そういうことだろう。でも、自民党も消費税増税に触れているわけだから、消費税そのものの議論が受け入れられなかったわけではないでしょう。一番の敗因は、破綻した数々のマニフェストに対して強弁を繰り返す民主党の姿勢に国民はウンザリしたのではないでしょうか。私はそう思うな。私は消費税率の改定には賛成だ。ただし、財政再建の手段に使うことは反対だ。財政の再建は無駄を省き、税制全般の議論をした上で、最も大切なことは景気を浮揚して税収を伸ばし対処していくものだと思うからだ。少子高齢で毎年1兆3.000億円自然増になる社会保障関連費の財源探しは、もはや待ったなしだ。そのための恒久財源は、消費税を充てるのが最も公平で公正だと思う。頂いた消費税はすべて国民の社会保障に還付される。その透明性と、政治に対する信頼があれば、この方法しかないと思う。ただ、導入時期、税率は、景気の動向を十分見極める必要がある。最近の財政再建、消費税、社会保障の議論は同じお金の色で話されている。確かにお金に色はついてはいないが、行革、無駄を省くその間だって1兆3.000億円の自然増は待ってはくれないのだから。

 M この選挙では、保守を標榜した小政党が目立ちました。オヤジも創生「日本」の幹事長として救国ネットワーク(たちあがれ日本、創新党)と共闘した一面もありました。ある意味今の国難ともいえるときに、保守が割れている場合ではない、といったお叱りや激励の言葉が事務所に寄せられていますが。
 衛藤 政界再編と言っても、それは政権をもっている与党が割れてこそ起こるもので、野党が離合集散しても残念ながら体制に影響がない。もともと小選挙区制度(衆議院選挙区、参議院一人区)とは、いやでも2大政党制を推し進めてしまう制度なんだ。今回はみんなの党が第三局として躍進した。民意が多様化していると取れば取れるが、一方、行革、政治主導のアジェンダは昨年の民主党のマニフェストに類似している。(今の民主党は怪しいが)まして、消費税率改定は自民、民主とも賛成した。反対意志があれば、みんなの党を応援することで示した有権者も多かったことだろう。まあ、難しいことがいろいろあることは分かっているが、なんとか保守の大同団結を目指す、それが今の政治信念だ。保守と言えば歴史、文化を大切にした、日本らしさを謳う一方、古い、好戦的なイメージを持たれてしまう負の面がある。なぜ自分の国を大切にすることが常に新しく正しいことなのか、若い世代に理解を求め、若者による国民運動を喚起していく、そういった地味な作業が必要なんだと思う。

 M 日本人はナショナルスタンダードをアメリカンスタンダードと履き違え、自文化で噛み砕きもせず受け入れ、アメリカナイズされてしまったという人がいます。米国社会は法で秩序を保っているが、かつての我が国は、絆であり、掟でしたよね。法は人が人的に作ったものですが、絆と掟は、長い間の営みのなかから発祥してきたもの。それが日本社会の基盤をなしていたはずです。年功序列、終身雇用、親分子分の任侠など、これらのことの是非は別として、絆、掟の観念は日本人のDNAに必ず組み込まれ続けているに違いないと思うんです。その日本人の姿勢が、アインシュタインをはじめ世界の多くの人から絶賛を得たんではないでしょうか。
 衛藤 もう少し自信を持って、良いってことだよな。